Blog

2021/12/07 14:00



過去の経験則で、直観的に
「たぶん今回もこうだ」と
思うことってよくありますよね。


脳はイベントに遭遇した際、
過去のデーターベースを検索して、
結果をはじき出し、判断します。

脳は1日に何千と選択を行うので
できるだけ考えこむような
負荷がかからないように
ショートカットします。

年齢を重ねれば、経験も多くなるので
検索ではじき出される結果も
早くなり、「たぶんこうだ」と判断を下す
スピードも迅速になります。

利用可能性ヒューリスティックという
心理学の用語があります。

まー用語はどうでもよくて、

つまりは

人の傾向として、

将来についての
意思決定を行う際に、

迅速で、容易に、
頭に浮かぶ情報を使用するという
傾向があります。

脳内のショートカットですね。

迅速に判断ができ、
決定するのに時間をあまり要しない。


これには当然、
良い面、悪い面があります。


迅速な判断はできるかもしれないけど、

物事の真意を理解せず、
鵜呑みにしちゃうと、
それが正しいとは限らないわけで。

過去がそうだとしても、未来も
そうなるとは限らないわけで。

最近起こったことが、
再び起こるとは言い切れないわけだから。


利用可能性ヒューリスティック、
つまり脳のショートカット、
オートマチックな判断が
起こりやすい状況として、例えば、

・直近で学んだ情報を重視

癌で死亡する映画を見た直後、
自分もなる可能性が高いのではと心配に感じる

車が転倒している映像を見た後、
自分も事故に遭う可能性はとても高いと心配する



・衝撃的または異常な情報を重視

子供の誘拐、飛行機の墜落、
列車の脱線、車の事故、
海水浴でのサメの襲撃、自然災害など。


子供の誘拐についてのニュース記事を見た後、
自分にも起こるかもと不安になり、
子供を一人で外出させるのを禁止させたり、

飛行機の墜落事故やハイジャックなど
テレビ番組で見た後、不安になって
外国への旅行を拒否したり、

サメによる襲撃に関する情報を見た後、
それが一般的であると思い、
海へ行くときは、サメによる襲撃の
可能性が高いと信じているため、
泳ぐことを拒否するなど。

宝くじに当選した人の贅沢な生活についての
番組を見たり、たくさんの広告を
見たりした後、自分もひょっとしたら
勝つのではと、可能性が実際よりも
高いと誤って判断し、必要以上のお金を使い始める。


・過去の失敗、過去の成功

自分が体験した過去のイベント。
心の傷を負ったトラウマ、失敗したこと、
また過去にうまくいった自分への過度な
自信や慢心など。


これらの情報を信頼しきってしまう。

自分で判断するときに
これらを容易に思い起こさせるので、

自分が判断する世界観に、
大きな影響を与えます。


将来も同じことが起こるだろうと
詳細を検討することなく、
確率を過大評価してしまうという
傾向が人にはあります。


脳的視点から見れば、そっちのほうが
ラクだし、あんまり考えなくて済むから。

脳は終日忙しい。

判断をするのに、いちいち関連するすべての
要因を細かく比較検討し、分析し、
詳細を深堀する労力や時間はありません。

できるだけ負荷がかからないよう節約し、

ラクに判断するよう、不確実性の中、

ショートカットして判断できるような設計へと
神様によってデザインされました。

時間と精神的エネルギーを
温存するようにできている。

だからできるだけ、
あまり深く考えることなく、

時間と精神的なエネルギーを
費やすことなく、

詳細を検討することなく、
意思決定を偏見し、
迅速に、意思決定を行います。





プラスに働く例として

例えば、

・近所で空き巣被害が増えているという
情報を知る。
自分の身に何か起こってはと心配になり
戸締りをしっかりとし、防犯ブザーやカメラを設置した。

・コロナが流行している。
感染しないように感染対策を徹底する。など。


オートマチックな判断は
迅速に判断できる。

だから結論に素早く
到達することができるという利点がある。


特に緊急を要している時などは
この迅速な決断や判断はとても役に立つ。


だたオートマチックな判断が、
ネガティブに働いてしまう時ってのも当然あり、

それは、経験上、起こるであろう未来に
不安に、臆病になりすぎて、

起こりそうにない小さなことを、
過剰に心配して大きく見積もりすぎ
前に進めなくなったり、


固定概念、偏見、
ステレオタイプな思考から抜け出せず、

過去の記憶内で、
簡単にアクセスできる事柄である
過去の経験や知識が邪魔をし、

「多分次もこうなる」との仮説や直感、
予感が外れ、慢心し、

慎重にならなきゃいけない時に、
大きく起こるであろう可能性を
小さく見積もり、見誤り、

大きなダメージを負って、
苦行に立たされてしまうこともある。




また真偽を深堀せず、
情報を検討しないことで

真に受けやすく、例えば、

SNSできらびやか、華麗、
優雅、豪華、綺麗な写真というのは、

生活のほんのわずかな
ごく一コマにすぎず、

ほとんどの人の生活は
ほとんどの場合平凡であり、

それは日常的なものではなく、
例外的なものであるということが
忘れがちになり、

嫉妬、不安、悲しみなど
ネガティブな感情の
トリガーにもなったりもする。


いずれにしても、
意思決定に偏見が起きやすくなり

その人が形作る価値観や世界観に
大きく影響を与えてしまいます。



またオートマチックな判断というのは、

直近で見聞きした斬新さ、
奇妙さ、希少さの情報は、
重要性が高くなってしまう傾向がある。

そのイベントが、実際に起こるよりも
頻繁に起こるだろう、本物だろうと想定してしまう。

実際よりも重要であるように思えてしまう。

起こりそうもない出来事の可能性を
過小評価したり過大評価しています。

過度なメディア報道は
人がこのような心理状態になる
きっかけにもなります。

前述した通り、

脳は、情報の深堀して詳細の検討を
常にしているわけではなく、
ショートカットするように設計されているため、

直近で見聞きした斬新さ、
奇妙さ、希少さの情報ほど、
重要性が高まってしまう。

また人は、簡単に思い浮かぶ情報を
重要視してしまうクセがあるんだって。

過去の体験で
簡単に記憶を想起できるものであるほど
「昔こうだったから今回もこうだ」と。


直近で見聞きした斬新な情報。
そのイベントに夢中になっている時間が
長ければ長いほど、

人は、そのイベントが発生する可能性を
普段よりも大きく見積もり、

信じるようになり、重要視する
可能性が高くなります。


問題は、特定のイベントが
他のイベントよりも心の中で際立って、
目立ってしまう傾向があるということです。


不倫のニュース一色の時、
街中ですれ違うカップルを見て
「あの人達不倫してるのかな」という
考えがよぎったり、

芸能人の薬物の逮捕のニュース一色の時、
ドラマを見て「この役者も薬に手を染めているのでは」という
偏見が入ったり。

過熱ニュース、それが賑わえば賑わうほど、
人の意識は、その話題の方に
アンテナが張られ、焦点が流れていき、

実際に起こる確率よりも、
細かく比較検討せず

確信度が上げて、重要視したり、
信じてしまうということ。


このオートマッチな判断をする傾向により、

人は、簡単に頭に浮かぶことを
重要視する、重きを置く傾向が高まる。


簡単に頭に浮かぶことっていうのは、
より一般的であり、より正確であり

それこそが現実世界を反映しているものであり、
世間の基準、見解、常識だと
信じてしまう傾向があるとのこと。


意思決定の偏見ってやつ。


でも、簡単に思い出せる記憶ほど、
ふと思い浮かぶ考えほど、

それが一般的なものであるという
保証などなければ、

頻繁に起こると判断したり、
将来再び起こると判断するには、

材料として不十分であることも多く、

真偽を確かめて深堀せず
安易に判断へ飛びつくのは、

悪い意思決定につながる
可能性も存分にあるということ。


そこで大事になってくるのが
判断を下す前に、時間をかけるということ。


脳内ショートカットは便利です。
精神的疲労も分析に要する時間も
節約できるから。

でもこれが重要な事や、
ライフイベント(転職、辞職、結婚、離婚、引っ越しなど)の
判断が必要な時など、

これらの時は、
脳内ショートカットに抵抗する。

その方法は、最初に頭にパッと
浮かんだことが正しいと
衝動的に判断するのではなく、

一時停止して、確認し、検討し、
様々な方向から見ること、分析することが
大切になってくるのは
言うまでもないですよね。

「最初に選択した方向とは
反対の方向に進むことにした場合は
どうなりますか?」と自問する。


意見に異議を唱える反対者の視点。

意思決定で発生する間違いを
意図的に探す視点。


そして、

この反対の見方を擁護するために
必要なデータを収集する。

それを最初の決定と比較する。

比較して全体を見て判断する。


脳内の
システム1機能は脳内ショートカットの高速判断機能。
システム2機能は深堀り、比較、分析機能。

システム2をアクティブに
することを意識すること。



利用可能性ヒューリスティック。

判断するための脳内ショートカット。

人は、簡単に思い出せる記憶を参考にして、
物事が起こる可能性を推測してしまう。

そう、意思決定、判断する際、

簡単に引き出せる記憶ほど、
曲者であるということ。

ぱっと思い浮かぶ記憶には
それだけバイアスがかかっているということ。


安易に鵜呑みにして
「絶対こうだ」と信頼しきって
判断するのではなく、

時には判断するのにスピードを減速させ、
偏見を取り除くため、

もう少し慎重に、別角度から
見てみようとすることも
大事になってくるってことで。


最初から「えいやー」と神頼み的に
運任せで、衝動的に判断して
意思決定するのではなく、

材料を吟味し検討し悩んだあげく
脳汗をたくさんかき、
最後の最後に背中を押す最終決断で
「えいやー」を発揮する。


おあとがよろしいよう。
今日はここまで。
おしまい。


Good virtues グッドバーチューズ