Blog

2021/08/04 14:00



私達の体には2つの重要な神経があります。

交感神経「戦うか逃げるか」および、
副交感神経「休息と消化」。

いわゆる自律神経です。


神経系が知覚された脅威を検出した場合、
交感神経が優位になり、

毛穴から汗が出て、血圧が急上昇し、
心拍数が増加する。

アドレナリンやコルチゾールといった
ストレスを感じると出るホルモンが急増する。

人間は「闘うか?それとも逃げるか?」という
生存本能のスイッチがオンされ、

心身を緊張状態へ導かれます。

手に汗握る状態。


これは私達の祖先が、
目の前に現れた自分よりも大きく、
どう猛な動物に、命を奪われた過去があり、

非常に警戒するようになったこと。

それによって発達した神経症状です。

心身共に不安と緊張状態であるということ。


反対に何の脅威もなく、
心身を保護する防御システムを
作動する必要がない場合は、

副交感神経系が優位になる。

これは、私たちに落ち着きを
もたらしてくれます。


迷走神経とは、

副交感神経系で
最も影響力のある神経です。


脳幹から腸、肺、心臓などの
多数の臓器や組織と繋がっています。


体内で最も長い神経であり、

広範囲に蜘蛛の巣状に迷走して、
さまようように張り巡らされている神経なので
迷走神経と呼ばれています。


迷走神経は副交感神経系の一部です。


迷走神経のメリットとして、

1つ目は、体では心拍数、呼吸、消化を
スムーズに、健康にし、また生殖、
ホルモンシステムの全体的な機能を
すべて改善することができ、

もう1つは心へリラックスを与えてくれる。


つまり、私たちの精神的健康と
身体的健康には、不可欠な存在ってわけで。


迷走神経は、
「心身のリセットボタン」のように
機能してくれます。


迷走神経は、

肝臓、脾臓、胃、膵臓、心臓、
肺の活動を監視します。

迷走神経からの情報は双方向でやりとりされ、

通信は脳から臓器へ、そして
臓器から脳へと行われます。

迷走神経は腸に接続されていて、
脳と腸の間の「架け橋」となります。


健康な迷走神経機能は

これら双方向の
コミュニケーションを活発に促進してくれる。


迷走神経の機能を、
健康的にすることは、

私たちがリラックスするのを
サポートしてくれるシステムが正常に稼働され、

それは心の健康だけでなく、

消化や代謝などの重要な
物理的プロセスにも好影響を
与えてくれるということ。

バランスの良い血糖調節、
脳卒中や心血管疾患のリスクの減少、
消化の改善、片頭痛の減少につながり、

更に、もっとも大きなメリットとして
感情や心の安定性をもたらしてくれる。


今、コロナ禍において、

この迷走神経の健康化がいかに大切な事か、

世界中で非常に注目されています。


人と集まれない、ソーシャルディスタンス、
遠出できないストレス、感染の不安、

重症化や死への恐怖、

毎日の感染者数増加のニュース、
ロックダウン、

終わりの見えない絶望感、

未来への不安、将来への不安、
今の仕事の不安・・・


これら慢性的なストレスによって、

先史時代のどう猛な動物は目の前に
いなにも関わらず、

常に交感神経が活発化された状態です。

常に危機察知のサイレンが
鳴り続けている緊張状態。


「戦うか逃げるか」モードにあります。

コロナ禍によって、緊張や不安状態で、
警戒心と攻撃性を引き起こします。


追い打ちをかけるように、

就寝ギリギリまでのネットサーフィンや
ゲーム、SNSのスクロール、

お菓子などの人口甘味料や砂糖、
高脂肪高カロリー食、ジャンクフード、

喫煙、過剰なアルコール、ギャンブルなど。


私達の神経を刺激し、高ぶらせ、

不安感を増大させ緊張状態へと
おいやるもので溢れている日常生活。


迷走神経機能の低下、
迷走神経のパフォーマンスが低いと

うつ病、不安、パニック発作、不眠症、
気分の乱高下、倦怠感、めまいなど

神経系の調節不全の症状が出てきます。


他にも呼吸、消化、および消化管の停滞、
肺などの機能が低下し、血圧が上昇します。

血糖調節不全、脳卒中や心血管疾患の
リスクが高まります。

吐き気、嘔吐、下痢、便秘、頭痛、
慢性疲労症候群、認知障害、慢性炎症、心血管疾患。


ではどうすれば健康的な
迷走神経にできるのだろう。

どうすれば、
迷走神経機能の低下を
防ぐことができるのだろう。


それは迷走神経を「刺激する」ことなんです。


え?刺激すんの?って感じですよね。

てっきり、
リラックスをもたらしてくれるから
赤子を毛布にくるむかのように、

丁寧に優しくして接して
あげるのかと思いきや。

刺激してあげることなんです。


機能が低下しているから
目を覚ますように。起きてくれーって。

ただし、その刺激の仕方に
コツがあるってことです。


針治療みたく、適切な個所へ、
適切な加減で、適切な方法で、
刺激してあげることで、

凝り固まった筋肉が緩んでラクに
なったり、関節の可動域が広がって
痛みが引いたりってありますよね。

そんなイメージです。


適切な加減の刺激の仕方によって、

効率よく、迷走神経機能が健康的に
稼働し、機能低下を防ぐってことで。


そこで、

迷走神経、副交感神経の活動を
刺激するのに役立つ方法として、


1)深呼吸または瞑想



迷走神経を刺激する方法で、最も簡単かつ
即座にできるものとしては、
呼吸を整えることです。

呼吸を整えれば、神経系に即座に影響を及ぼし、
迷走神経が刺激され、

副交感神経反応がオンされます。

息を吸うと、心拍数が少し速くなり、
息を吐くと、少し遅くなります。

この差を広げる、吐くカウントを
長くする呼吸を意識する。


吸入よりも、吐くカウントが長いと、
迷走神経は脳に信号を送り、
副交感神経系を活性化します。


ゆっくりと息を吸い、
そのまま肺、胸、横隔膜が開くイメージで、

胃を膨らませ、空気を溜め込み、
そのままキープ。

ゆっくりと長く吐き出す。
肺が空っぽになるイメージで。


下記は、アメリカ海軍の特殊部隊である
Navy SEALsでも採用されているという、

メンタルバランスを落ち着かせ、
ストレスがかかったときに、

冷静な思考を取り戻すのに
役立つる呼吸法「Box Breathing」です。

別名「Tactical Breathing(戦術的呼吸)」とも呼ばれてます。

1:4秒間、吸います(下記サイトで円が拡大するのに合わせて)
2:そのまま4秒間ストップ。息をとめます。(円が拡大したまま)
3:4秒間、息を吐きます(円が縮小に合わせて)
4:4秒間ストップ(円が収縮するため)




2)ヨガ



2010年の東北大学の研究では、
ヨガなどの定期的な適度な運動を
行うことによって、胃の運動性が増加し、
胃での消化を促進され、迷走神経が
刺激されるていることが分かっています。

軽度の運動によって、迷走神経が刺激され、
胃が食物を処理する能力を
高めることを示しています。



3)冷水または空気に身をさらす



迷走神経は、体が寒さにさらされると
刺激されることが分かっています。

急性の寒冷暴露は、
迷走神経や迷走神経の経路上にある様々な
ニューロン、ミトコンドリア機能、
オートファジーを活性化してくれます。

■オートファジーの活性化によるエイジングケア(過去記事)


交感神経をダウンさせ、
副交感神経系の活動をオンさせてくれます。


1日のはじまりは、冷水で顔を洗います。
1日の終わりは、入浴では冷水シャワーを
最後にあびて、出るようにします。

冬でも毎朝、数秒だけでもいいから
窓を開け、朝の新鮮な冷たい空気を
体に感じとらせてあげましょう。

他にもジップロックやビニール袋に
氷を詰めこみ、それを顔や額に当て、

目を閉じ、ゆっくりと深呼吸することでも
同じ効果が得られます。


4)うがい、歌



うがいや歌を口ずさむことで、

喉の後ろの筋肉を動かし、筋線維を
振動させることによって
迷走神経を活性化されます。

これは迷走神経の一部が
この領域にあるためです。

コロナ禍での、うがいという行為は、
感染の予防しかり、

心身の健康という意味でも
とても大事な側面もあるってこと。

しっかり、うがいをした後は、
お気に入りの曲を、
大きな声で歌いましょうww。



5)トリプトファンが豊富な食品を食べる



神経伝達物質であるセロトニンは、
脳、腸、そして全身のさまざまな
受容体を介して迷走神経を活性化してくれます。

セロトニンは、
リラックス、落ち着き、気分が良くポジティブで、

不安、緊張、心配、恐怖を
軽減してくれる。

感情や気分に影響を与える
セロトニンというホルモン。

その約90%のセロトニンは
腸から作らている。


セロトニンの生産レベルを改善するために、
セロトニンの前駆体トリプトファンを摂取する。


トリプトファンは腸内で代謝され、
炎症を制御してくれるとされ、

迷走神経を介して脳に伝達され、
炎症を抑えるシグナル伝達分子の
作成を助けてくれる。

迷走神経を介した腸と
脳のコミュニケーション、双方向の通信を改善する
可能性があるとされています。

下記にトリプトファンが摂取できる
食材をリストアップしていますので
良かったら参考にしてみてください。

■劇的に眠れるトリプトファンリスト7選(過去記事)



6)プレバイオティクスおよびプロバイオティクス



腸内にいる善玉菌などの細菌(プロバイオティクス)と、
それらが住みやすい環境に整えたり

善玉菌の餌になるような食品など(プレバイオティクス)で、

健康な腸を育成することで、

迷走神経も健康的に
稼働してくれるようになる。


研究によると、腸内微生物は
迷走神経を活性化することができることが
分かっています。

迷走神経は、脳と腸管神経系の間を
渡している橋であり、

消化と腸を制御しています。

腸内微生物は、この双方向の
シグナル伝達をしっかりと機能させる上で、
重要な役割を果たしています。


ヨーグルト、キムチ、納豆などの
発酵食品がお手軽。

他にも食事関連で言うと、
オメガ3脂肪酸(亜麻仁、チアシード、
クルミ、鮭、サバ、サーモン)は
迷走神経を刺激し、気分や感情を落ちつかせる。

副交感神経のスイッチが
オンに導きやすくなるのを助けてくれます。


他にも

ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなどの
アブラナ科の野菜、

ほうれん草、ケール、キャベツなどの
葉物野菜

ウコンやキノコなどのアダプトゲンなども
炎症を防ぐことで腸と脳の健康を
維持するのに役立ちます。 


また砂糖たっぷりのお菓子やアイス、
高脂肪高カロリー食、ジャンクフードや
加工食品は、

炎症性食品に分類され、

腸の健康を損ない、
腸内細菌叢の不均衡を引き起こし、
体と脳に炎症を増加させてしまいます。

神経炎症は、不安感の悪化、
うつ病、倦怠感や疲労レベルが
増大してしまう。

腸の炎症は、脳の炎症です。

ストレスを感じるとこれらを余計に
食べたくなるという負のスパイラルに入る。



7)断食



研究では、絶食が
迷走神経を活性化できることを示唆しています。

正しくファスティングすることや
摂取カロリーを制限するというのは、

16時間絶食した後、8時間以内に
すべての食事を食べることが
望ましいとされています。

少なくとも12時間は
断食するようにしてください。

18時頃に夕食を食べ終え、
その後は就寝まで何も食べず、

翌日は通常の朝食を食べるだけです。


18時に夜ご飯は無理だとして
20時に終了するとします。

就寝前に何も食べず、翌日の朝は抜き、
正午以降に昼食を食べます。

これで断食成功です。

断食はできればやる日を決めて(土曜日だけやるとか)
同じ規則に従ってやること。




他にも迷走神経を刺激するコツとして


・自然の中で時間を過ごします

・声を出して笑う

・キャリアオイルで希釈されたクローブと
ライムのエッセンシャルオイルのブレンド数滴を皮膚に塗る。

・マッサージを受ける




いかがでしたか?

迷走神経を刺激する方法は探せば
色々あります。

先ずは上記、どれか2,3個選び、

意識して、日常のライフスタイルに
落とし込んでいくことを習慣化する。


迷走神経の健康化によるメリットは
非常に広範囲にあり、

日常の幸福感、生活の質に
大きくリンクしていると言っても過言ではない。


刺激させるコツを
知っていることは、

このコロナ禍において、
非常に強い味方になってくれること
間違いなしかと。



おあとがよろしいよう。
今日はここまで。
おしまい。



Good virtues グッドバーチューズ